今回の日記,書くべきかどうかものすごく悩みました. 自己擁護とギリギリの話なので.
「当事者であるオマエが言うな」という反応は,折込み済みとして,書き始めます.
Twitterで頂いた反応(mention)と私の感想
破産後に社会からどんな制裁を受けると予想しているのか…とか、債権者に対する申し訳ないという気持ちが全く無いのか…とか
この方,既に当該 tweet を消しておられるようなので,お名前は伏せます. 軽くググッたところ,粘着荒らし系で単独スレが立つくらいの方なので,言いたいことと tweet とに乖離があるのかもしれません.
私は,鈍感力はあるほうです. また,破綻してから2年近く経っていますから,いろいろとココロの整理がついています.
そんな私の,読後の第一印象は,「あんた,ヘタすると,人殺すよ.もしかすると,あんた自身も」です.
倒産社長の心理
「社長」と一口に言っても,個体差がものすごくあります. また「倒産」と一口にいっても,その理由は様々です.
とはいえ,日本人で普通に公教育を受けて何らかの理由で起業して雇用して,というパターンの社長が,資金繰りに行き詰まって負債を抱えて倒産する. こういう筋書きに直面した瞬間の反応には,それほどバリエーションは無いだろうと思います.
私が事務所を畳んだ直後は,かなり凹みました. 心理的に凹むだけでなく,いろいろ身体症状が出てきます. へんな空咳がでる(たぶん逆流性食道炎になっている)とか,身体が強張るとか,不眠とか寝過ぎとか. ふと我に返ると,ネガティブな独り言をブツブツ言っていて,自分に驚く,とか.
妻子が居なかったら,自死していてもおかしくないかもしれません.
倒産したらどうなるのか,という不安
倒産件数は,近年減少傾向があるとはいえ,年1万件を超えます. その中で7割以上が,破産です. 日本の中小企業の場合,会社の破産は代表の破産なので,同じくらいの社長が破産していることになります. しかし,倒産したらどうなるのか,破産したらどうなるのか,は,あまり情報共有されません.
情報が伏せられている世界に突入するのは,かなりの心理ストレスです. 「破産後に社会からどんな制裁を受けるのか…」を考えて,答えが出ず,しかし選択をすることになります.
心理ストレスがかかっている状態で,医者に行けば鬱病の診断書が出かねない状態で, 「破産後に社会からどんな制裁を受けるのか…」と不安で煽る. これは,一番まずい対応です. 死にかねません.
倫理観を問う無責任
色々なタイプの社長は居ると思いますが,概ね3年を超えて事業が続く会社というのは,取引している顧客や金融機関から信用を得ています. 少なくとも,会社が傾くまでは信用を得ていたはずです. 倫理観の無い会社は,反社会的勢力は別として,長く持ちません. 逆説的に,潰れる会社の社長も商売に関する倫理観は,普通に持っています.
それでも会社は潰れます. 社長にとって,倒産というのは,自分が持っている倫理観を,実力では達成できなかったことを意味します. 正しい倫理観を持っていればいるほど,その挫折感は大きくなるはずです.
そこに「債権者に対する申し訳ないという気持ちが全く無いのか…」と畳み込むのは,その人に自殺教唆をするようなものです.
そういうことにしたい,という心理
…と,ここまで自己擁護とスレスレの話でした. ここから先が,割と本題.
今回の日記の元になった tweet で,本当に怖いなと思ったことがあります.
件の彼としばらくtweetのやり取りをして,徐々に枠組みが見えてきたのですが. 彼は,私が無責任で「何の罪の意識もなく」破産し,「免責のあと5年でまた借金ができる」と思うくらい無知で,どうしようもない人だ.と,必死に思いたがっている…のでは? と. (や,一般論として,私が無知でどうしようもないというのは否定しませんが.それはさておき.)
様々な情報を総合すると,発言者は,私と同様に小規模な会社をやっていて,どうやら同様に妻子がいるようです.
“転んだ奴は馬鹿で無能だ.その点,オレは大丈夫.奴とは違う.” …なるほどそういうことにしたいのですね.と考えると,彼のtweetの一つ一つについて,割とすんなり合点がいきます. (残念ながら彼はtweetのほとんどを削除しています.)
彼の中の私は,今このエントリを書いている私ではありません. なので,どういうことにしておいて貰っても,私には実害は無いのですが.
ただ,彼の考えは,彼が万一の不可抗力で会社を畳まざるをえないような事態になった時,彼自身を追い詰めてしまい得ます.
彼がどうなっても,これまた私には実害はないのですが.
ただまあ彼にせよ誰にせよ,自死を考えるにまで追い詰められる,なんていうリスクは現代法治国家では気軽く負わせるべきではないと思うのです. 私の倫理観として.
「じゃああなたは,破産に際して,どういうふうに己の倫理観と折り合いつけたのよ.」という点については,たぶんそのうち書きます. (追記: 書きました )