SIerさんたちは真っ当な商いをなさっている

SIer さんの経営層を叩く記事は、読んでいて痛快だ。 どうにか売上を立てている人たちの苦心を否定し、無責任な立場から叩く。これ以上の貴族的娯楽はない。

無料で読める娯楽で下衆なバカ笑いしたあと、私は、真顔になる。(めんどくさいヤツだよ)

経営者にとって何よりも優先されるべきことは、会社を潰さないこと。 その次に、従業員に前月締めの給与を、遅配なく渡すこと。

国境や税関の向こうで、どんなビジネスの変革が起きているのかなんて、実はどうでもいい。 もしかしたら、その変革が会社を潰すのかもしれないけれども。それは今日や明日の話ではない。

…。

ああ、そう言いつつも私自身は、日本型の SIer ビジネスに与する気はない。夢見がちな経営の末に一回会社を潰したうえでもなお。

みずほ銀が何度もしくじり、ケータイが潰えたのと同様に、車載の取り組みも人件費が垂れ流されるだけの徒労に終わるだろうと思ってもいる。美味しいところは欧州がかっさらっていくだろう。 そして中長期的に、日本のソフトウェア業界は、(かつて見下していた)中国か韓国あたりの技術指導を受けながら、下請けで細々と生きながらえていくのだろうとも予測している。日本のソフトウェア技術者の年収、今でも下請け並みに安いのでね。中国企業以下。

さりとて。 (少なくとも大手の) SIer さんたちは、遅配なく給与を払っているんだよね。決算賞与を出せたところもあるかもしれない。

ならば。正義は、そっちだ。SIer さんたちが、正義。

翻って、SIer さんたちを揶揄したくなっている人たちのなかで、彼らを超える売上高なり利益率を挙げられていない人たち(私もだ)ってのは、正義じゃないんですよ。喩えるなら、海賊とか山賊。 賊は、賊らしく闘っていかないと。 経営もしていないような記者の”正論”を賛同リツイートして溜飲を下げているのは、賊らしくないと思うんですよ。