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“デキる”中堅IT経営層と4桁(年収)プログラマとの齟齬
“デキる”中堅IT経営層は、日本には少なからず居る。
ここでいう”デキる”とは、技術に夢を持ち、資金調達の能力をもち、潰さず500名規模まで伸ばせる人材の層を指す。
同時に “デキる”プログラマも、日本には少なからず居る。
しかし、両者にはミスマッチがある。
両者とも、実績を積んだのは事実であり、生産性を高めた結果として地位なり収入なりを得ている。
そこには両者なりの合理性がある。
日本の中堅IT経営層は、多段下請構造に自らを最適化することによって自社を潰さず伸ばしていった。
日本の産業構造が求めた結果であり、彼らに求められるのは会社を続け雇用を確保することなのだから、彼らの行動は合理的である。
結果として、日本の中堅IT経営層の多くが考えるリソースとは、”人財”となる。
よって、企業の拡大局面においては、ヒューマンリソースが現場に投入されがちである。
不思議なもので、彼らの少なからずは「人月の神話」を読んでいる。
特に CTO やそれに準じる職位にあっては、読んだことがないという事例は(私が知る限り)一例もない。
一方、プログラマにとっては、高い生産性を求められるほど、コンピューティングリソースが必要になる。
言い換えると、コンピューティングリソースが与えられないプログラマは、その潜在能力と報酬が高ければ高いほど、”穀潰し”でしかなくなる。
よって、企業の拡大局面において、”デキる”プログラマが現場の投入を望むのは、”サーバ群”である。
乱読傾向にある彼らの少なからずもまた、「人月の神話」を読んでいる。
「拡大局面において無計画に”人材”を投入するのは無能な管理者の行いだ」ということを、自らの体験と重ねあわせて解釈している。
“人財”と”サーバ群”。これがそれぞれ”デキる”層だったとしても乗り越えることが難しいほぼ唯一のミスマッチと、私は考える。
予算執行権と既決感